こんにちは。歯科医師の鄭です。
差し歯が取れた。これは一大事です。今まで食事をするために使っていた歯が取れてしまうのですから、見た目にも、食事にも不便です。
幸い取れたヤツはあるから、また差し歯戻してよ!
・・・というケースはよくあります。よくあるのですが、残念ながら戻せない可能性が高いのが現実です。
差し歯が取れるのには必ず原因があります。昨日つけた差し歯の接着が弱くて取れた、というケースも無いわけではないですが、ほとんどの場合、数年・数十年前につけた補綴物とご自身の歯が合わなくなって取れてしまいます。
では合わなくなった原因は?虫歯?歯のひび割れ?食いしばり?根の病気?それとも歯周病?
これらの原因が複雑に絡み合っているため、まずは検査が必要となるのです。そしてほとんどの場合、復位することが困難なためお作り直しをお勧めすることとなるのです。
「そんなのいいから、とにかくつけてほしい。責任は自分がとるから。」というご要望もまれに聞かれます。
そのお気持ちもよくわかるのですが、私たち保険医は、国と厚生労働省から皆様の健康保険料を委託されているため、予後の悪い診療に対しては(つまり、つけてもすぐにダメになることが明らかである診療)厳しい目線を向けられることとなります。
そのため私たちは歯科医学的に妥当な治療方法を常に皆様にご提案する必要があり、取れた差し歯を戻すことが妥当かどうかを常に注意深く診査するのです。
皆様のご理解を何卒宜しくお願い致します。